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キャッシュレス化で変わる店舗経営

2025年5月13日

先日もお伝えしましたが、近年消費者のライフスタイルの変化やコロナ禍を契機とした非接触ニーズの高まりにより、キャッシュレス決済の導入があらゆる業種で加速しています。

整骨院や個人店舗を含む中小事業者にとっても、現金主義からの脱却は業務効率の改善や顧客満足度の向上、売上アップといった多くのメリットをもたらします。しかし、「どの決済サービスを選べばいいのか分からない」「システム導入に不安がある」といった声も少なくありません。

この記事では、主要なキャッシュレス決済の特徴や選び方、導入の流れ、そしてスムーズな移行を実現するためのステップを分かりやすく解説します。

キャッシュレス決済の種類と選び方

キャッシュレス決済は種類が豊富で、それぞれ特徴が異なります。自社に最適な決済方法を選ぶためには、各サービスのメリット・デメリット、手数料、導入コストなどを比較検討することが重要です。

1. 主要キャッシュレス決済サービス

ここでは、代表的なキャッシュレス決済サービスを紹介します。

1.1 クレジットカード

世界的に広く利用されている決済方法で、顧客の利便性が高い点がメリットです。VISA、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubなど、さまざまな国際ブランドが存在します。顧客にとってはポイントが貯まる、分割払いができるなどのメリットがあります。事業者にとっては、比較的高額な決済にも対応できる点がメリットです。手数料は事業者負担となります。

1.2 電子マネー

Suica、PASMO、ICOCAなどの交通系電子マネーや、楽天Edy、nanaco、WAONなどの流通系電子マネーが代表的です。事前にチャージが必要なため、少額決済に向いています。顧客にとっては、スピーディーな決済が可能である点がメリットです。事業者にとっては、現金の取り扱いを減らせる点がメリットです。手数料は事業者負担となります。

1.3 QRコード決済

PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払いなどが代表的です。スマートフォンでQRコードを読み取ることで決済が完了するため、手軽に利用できます。顧客にとっては、ポイント還元キャンペーンなどが魅力です。事業者にとっては、導入コストが比較的低い点がメリットです。手数料は事業者負担となります。

2. 自社に最適なキャッシュレス決済の選び方

キャッシュレス決済の導入を検討する際には、以下の点を考慮して選びましょう。

項目内容
ターゲット層顧客層が利用している決済方法を導入することが重要です。例えば、若年層をターゲットとする場合はQRコード決済の導入を検討すると良いでしょう。
客単価高額商品を扱う場合はクレジットカード決済、少額商品を扱う場合は電子マネーやQRコード決済が適しています。
導入コスト初期費用や月額費用、決済手数料などを比較検討しましょう。
運用コスト決済手数料や入金サイクルなどを確認しましょう。

キャッシュレス決済サービスの比較サイトなどを参考に、自社のビジネスに最適なサービスを選びましょう。

キャッシュレス管理システムの導入

キャッシュレス化を進める上で、管理システムの導入は非常に重要です。適切なシステムを選ぶことで、業務効率化やデータ分析による経営改善を実現できます。以下では、おすすめのシステムと導入時の注意点を解説します。

1. おすすめのキャッシュレス管理システム

様々なキャッシュレス管理システムが存在しますが、ここでは代表的な3つのサービスを紹介します。

サービス名特徴料金対応決済
AirレジPOSレジ機能、在庫管理、売上分析など多機能で、幅広い業種に対応。無料で利用開始できる点も魅力。無料(一部機能は有料)クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など
Squareシンプルで使いやすいインターフェースが特徴。POSレジ機能に加え、オンラインストア作成機能も提供。無料(決済手数料あり)クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など
STORES 決済オンラインストアと連携しやすいのが特徴。ネットショップ運営者におすすめ。無料(決済手数料あり)クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など

上記以外にも、様々なサービスが存在します。自社の規模や業種、必要な機能に合わせて最適なシステムを選びましょう。比較サイトなどを活用するのも有効です。

各サービスの詳細は、公式サイトで確認できます。

2. システム導入時の注意点

キャッシュレス管理システムを導入する際には、以下の点に注意しましょう。

2.1 導入コスト

初期費用や月額費用、決済手数料などを確認し、予算内で収まるか検討しましょう。無料プランでも、決済手数料やオプション機能によっては追加費用が発生する場合があります。 各社の料金体系をしっかりと比較検討することが重要です。

2.2 システムトラブル

システムトラブル発生時の対応について確認しておきましょう。サポート体制が充実しているか、トラブル発生時の連絡窓口は明確になっているかなどを事前に確認することが重要です。

2.3 顧客対応

導入する決済方法によっては、顧客に使い方を説明する必要がある場合があります。スムーズな決済のために、従業員への研修や顧客向けの説明資料などを準備しておきましょう。

「現金派」から脱却するためのステップ

現金主義からキャッシュレス経営への移行は、スムーズに進めるために計画的なステップが必要です。ここでは、円滑な移行を実現するための具体的なステップを解説します。

ステップ1:現状分析と目標設定

まず、現在の現金取引の状況を詳細に把握しましょう。1日の現金取引量、現金管理にかかる時間、発生する手数料などを分析します。その上で、キャッシュレス化によってどのような効果を期待するのか、具体的な目標を設定することが重要です。例えば、「現金管理にかかる時間を50%削減する」「釣銭ミスをゼロにする」「顧客単価を10%向上させる」といった目標を設定することで、導入後の効果測定がしやすくなります。

ステップ2:キャッシュレス決済方法の選定

事業内容や顧客層に最適なキャッシュレス決済方法を選びましょう。クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など、様々な種類があります。それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、自社に合った方法を選択することが重要です。多様な顧客ニーズに対応するために、複数の決済方法を導入することも検討しましょう。

決済方法メリットデメリット
クレジットカード顧客単価の向上、顧客利便性の向上手数料負担、決済処理時間
電子マネースピーディーな決済、少額決済の利便性チャージの手間、利用可能な電子マネーの種類
QRコード決済導入コストが低い、手数料が比較的低い利用者の普及率、セキュリティ対策

上記の表を参考に、自社に最適な決済方法を選定しましょう。例えば、高額商品を扱う場合はクレジットカード決済を、少額決済が多い場合は電子マネーやQRコード決済を導入するのが効果的です。

ステップ3:キャッシュレス管理システムの導入

選んだキャッシュレス決済方法に対応したPOSレジシステムや決済端末を導入します。導入前に無料トライアルなどを活用し、操作性や機能性を確認しましょう。また、既存のシステムとの連携についても事前に確認しておくことが重要です。従業員への操作研修も忘れずに行いましょう。

ステップ4:従業員教育と顧客への周知

キャッシュレス決済の導入は、従業員にとっても新しい業務となります。操作方法だけでなく、キャッシュレス決済のメリットや顧客への説明方法についても研修を行いましょう。顧客に対しては、キャッシュレス決済導入の告知や利用方法の説明を丁寧に行うことで、スムーズな移行を促すことができます。POP広告やウェブサイト、SNSなどを活用して積極的に周知しましょう。

ステップ5:運用開始と効果測定

キャッシュレス決済の運用を開始したら、目標達成度を定期的に確認しましょう。売上向上、コスト削減、業務効率化など、設定した目標に対してどの程度の効果が出ているかを分析し、必要に応じて改善策を講じます。また、顧客からのフィードバックも積極的に収集し、サービス向上に繋げましょう。PDCAサイクルを回し、継続的に改善していくことが重要です。

これらのステップを踏むことで、スムーズかつ効果的なキャッシュレス化を実現し、経営の効率化と成長に繋げることができます。キャッシュレス化は単なる決済方法の変更ではなく、ビジネスモデルの進化へと繋がる重要な一歩です。ぜひ、積極的に取り組んでみましょう。

キャッシュレス化で変わる店舗経営 | まとめ

キャッシュレス決済の導入は、単なる「支払い方法の追加」にとどまらず、業務効率の向上や顧客満足度の改善、さらには経営戦略のアップデートに繋がる大きなチャンスです。自院や自店舗の現状をしっかりと把握したうえで、ターゲットに合った決済方法や管理システムを選定し、段階的にキャッシュレス化を進めることが成功のカギとなります。

これからの時代を見据え、現金派からの脱却を図ることで、よりスマートで強い経営基盤を築いていきましょう。

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