現代のビジネスにおいて、社内外のスムーズなコミュニケーションを実現するためには、チャットツールの活用が欠かせません。
しかし、数多く存在するチャットツールの中から、自社に最適なものを選ぶのは簡単ではありません。そこで本記事では、代表的なビジネスチャットツールである「Chatwork」「Slack」「LINE(およびLINE WORKS)」の特徴や機能、料金、セキュリティ面などを徹底比較します。
さらに、企業規模や用途別にどのツールが適しているのかを分かりやすく解説します。
初めての導入を検討している方にも、既存ツールの見直しを考えている方にも役立つ情報をお届けします。
Chatwork・Slack・LINEの特徴比較
ビジネスチャットツールを選ぶ上で重要なのは、それぞれのツールが持つ特徴を理解し、自社のニーズに合ったツールを選ぶことです。ここでは、Chatwork、Slack、LINEの3つのツールを比較し、それぞれの特徴を詳しく解説します。
1. 基本機能比較(無料版・有料版)
まずは、Chatwork、Slack、LINEの無料版と有料版の基本機能を比較してみましょう。以下の表では、メッセージ機能、ファイル共有、ビデオ通話/音声通話、その他機能といった主要な機能を比較しています。
機能 | Chatwork | Slack | LINE |
---|---|---|---|
料金プラン | 無料版、有料版(ビジネスプラン、エンタープライズプラン) | 無料版、有料版(Proプラン、Business+プラン) | 無料版、有料版(LINE WORKS) |
メッセージ機能 | グループチャット、ダイレクトメッセージ、既読確認、メッセージ編集、メッセージ削除 有料版では、メッセージの引用や、ファイル容量の増加などの機能が利用可能です。 | チャンネル、ダイレクトメッセージ、スレッド、絵文字リアクション、メッセージ編集、メッセージ削除 有料版では、ゲストアカウントの招待や、メッセージのエクスポートなどが可能になります。 | グループチャット、ダイレクトメッセージ、スタンプ、既読確認、メッセージ削除 LINE WORKSでは、既読確認の管理や、管理者権限の強化などが可能です。 |
ファイル共有 | ファイル送信、ファイルプレビュー 有料版では、ファイル容量の増加、ファイル管理機能の強化といったメリットがあります。 | ファイル送信、ファイルプレビュー、Google Drive、Dropboxなどの外部サービスとの連携 有料版では、ファイル容量の増加、ファイル検索機能の強化などが可能です。 | ファイル送信、アルバム機能 |
ビデオ通話/音声通話 | 有料版でのみ利用可能 | 無料版、有料版で利用可能 | 無料版で利用可能 |
その他機能 | タスク管理、アンケート機能、コンタクト管理 | アプリ連携、ワークフローの自動化 | LINEのユーザーと簡単に連絡可能 |
2. Chatworkの特徴・ポイント
2.1 メリット
シンプルなインターフェースで操作が簡単。タスク管理機能が充実している。
2.2 デメリット
無料版ではビデオ通話が利用できない。外部サービスとの連携が少ない。
2.3 こんな人におすすめ
シンプルなチャットツールを探している人。タスク管理機能を重視する人。
3. Slackの特徴・ポイント
3.1 メリット
豊富なアプリ連携で拡張性が高い。チャンネル機能でコミュニケーションを整理しやすい。
3.2 デメリット
多機能であるがゆえに、使いこなすまでに時間がかかる場合がある。無料版ではメッセージの閲覧履歴に制限がある。
3.3 こんな人におすすめ
外部サービスとの連携を重視する人。多様なコミュニケーション方法を求める人。
4. LINEの特徴・ポイント
4.1 メリット
ほとんどの人が使い慣れているため、導入がスムーズ。無料版でもビデオ通話が利用できる。
4.2 デメリット
ビジネス利用に特化した機能が少ない。セキュリティ面で不安がある場合もある。
4.3 こんな人におすすめ
手軽にチャットツールを導入したい人。社外とのコミュニケーションが多い人。
Chatwork・Slack・LINEの選び方
ビジネスチャットツールを選ぶ際に重要なポイントを、規模、費用、セキュリティ、連携サービスの観点から解説します。それぞれのビジネスニーズに合った最適なツールを見つけるための指針としてご活用ください。
1. 規模で選ぶ
チームや組織の規模によって、最適なツールは異なります。小規模チーム、中規模チーム、大規模組織それぞれに適したツールを以下にまとめました。
規模 | Chatwork | Slack | LINE |
---|---|---|---|
小規模チーム(~数十人) | シンプルで使いやすいので、ITに不慣れなメンバーが多い場合でもスムーズに導入できます。 | 小規模チームでも十分活用できますが、多機能であるがゆえに、使いこなすには学習コストがかかる場合があります。 | すでに使い慣れているユーザーが多いというメリットがありますが、ビジネス利用に最適化されているとは言えません。 |
中規模チーム(数十~数百人) | 部署ごとにグループを作成することで、情報共有をスムーズに行えます。 | 豊富な機能と連携サービスを活用することで、チームの生産性向上に貢献します。 | 大人数のグループ管理が煩雑になりやすく、ビジネス用途での利用は推奨されません。 |
大規模組織(数百人~) | 大規模組織での利用には、管理機能やセキュリティ面で課題が残ります。 | エンタープライズプランでは高度な管理機能とセキュリティを提供しており、大規模組織にも適しています。 | ビジネス利用には適していません。 |
2. 費用で選ぶ
各ツールの料金プランを比較し、予算に合わせて最適なツールを選びましょう。無料プランの機能制限にも注意が必要です。
ツール | 無料プラン | 有料プラン |
---|---|---|
Chatwork | 機能制限あり | 比較的安価なプランから利用可能 |
Slack | 機能制限あり | プランによって機能と価格が異なります。 |
LINE | 無料 | ビジネス向けプランあり(LINE WORKS) |
LINEは無料プランでも利用できますが、ビジネス利用を想定したLINE WORKSというサービスも提供されています。費用を抑えたい場合は、各ツールの無料プランでどこまで機能が利用できるかを比較検討することが重要です。
3. セキュリティで選ぶ
ビジネスで利用するツールだからこそ、セキュリティ対策は重要です。情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために、各ツールのセキュリティ機能を比較しましょう。
機密情報の取り扱いが多い場合は、より強固なセキュリティ対策が施されているツールを選ぶべきです。例えば、二要素認証やアクセス権限の設定など、セキュリティ機能が充実しているか確認しましょう。
4. 連携サービスで選ぶ
他のビジネスツールとの連携は、業務効率化に大きく貢献します。普段使っているツールと連携できるかどうかも、ツール選びの重要なポイントです。
例えば、GoogleカレンダーやSalesforceなど、よく利用するサービスと連携できるツールを選ぶことで、ワークフローをスムーズにすることができます。各ツールが提供する連携サービスを比較検討し、自社のニーズに合ったツールを選びましょう。
よくある質問
ビジネスチャットツール導入に関してよくある質問をまとめました。
1. 無料版と有料版の違いは?
機能 | Chatwork(無料版) | Chatwork(有料版) | Slack(無料版) | Slack(有料版) | LINE(無料版) | LINE WORKS(有料版) |
---|---|---|---|---|---|---|
メッセージ履歴 | 直近14日間 | 無制限 | 直近1万件 | 無制限 | 無制限 | 容量の上限まで |
ファイル容量 | 5GB | 100GB~ | 5GB | 10GB~/ユーザー | 端末依存 | 100GB~ |
グループビデオ通話 | 1対1のみ | 複数人可能 | 1対1のみ | 複数人可能 | 複数人可能 | 複数人可能 |
管理機能 | なし | あり | 限定的 | 充実 | なし | あり |
2. どのツールが最も安全ですか?
それぞれのツールはセキュリティ対策を講じていますが、絶対的に安全なツールはありません。重要な情報を取り扱う場合は、各ツールのセキュリティ対策の内容を比較検討し、自社の要件に合ったツールを選択することが重要です。
3. ツールを導入する際の注意点は何ですか?
ツール導入前に、利用目的、必要な機能、予算などを明確にすることが大切です。また、従業員への研修も重要です。スムーズな導入と活用のためには、導入後のサポート体制も確認しておきましょう。
4. LINEをビジネスチャットとして利用しても問題ないでしょうか?
LINEは手軽に利用できますが、ビジネス利用にはセキュリティや管理機能の面で課題があります。機密情報の漏洩リスクや、管理者権限がないことによる情報管理の難しさなどを考慮し、ビジネス用途に適しているか慎重に判断する必要があります。LINE WORKSのようなビジネス向けサービスの利用も検討しましょう。
5. 複数サービスの併用は可能ですか?
可能です。例えば、社内コミュニケーションにはChatwork、社外とのやり取りにはSlack、緊急連絡にはLINEといった使い分けができます。ただし、ツールが増えることで管理の手間も増えるため、本当に必要なツールを選択することが重要です。
6. ツール導入の効果測定はどうすれば良いですか?
導入前に目標を設定し、導入後にコミュニケーション量の変化や業務効率の向上などを指標として測定します。例えば、メールの送受信数がどれくらい減ったか、会議の時間がどれくらい短縮されたかなどを計測することで、導入効果を可視化できます。
Chatwork・Slack・LINEの違い | まとめ
ビジネスチャットツールには、それぞれ異なる強みや特徴があります。Chatworkはシンプルで扱いやすく、タスク管理に優れている一方、Slackは高い拡張性と多機能性を持ち、大規模組織や多様な業務に対応できます。
LINEは誰もが使い慣れている手軽さが魅力ですが、ビジネス利用にはLINE WORKSのような専用ツールの検討が必要です。
導入時には、自社の規模や業務フロー、必要な機能、セキュリティ要件を明確にしたうえで、最適なツールを選定することが重要です。
複数のツールを組み合わせて活用することも選択肢の一つになるでしょう。
目的に応じたツール選びで、業務の効率化とコミュニケーションの質の向上を目指してはいかがですか。