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社外取締役の選任メリット・デメリット

2025年5月2日

先日、社外取締役の必要性について解説しましたが、企業経営におけるガバナンス強化や成長支援を目的として、社外取締役の選任がますます重要視されています。

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社外取締役は、経営の透明性向上やリスク管理強化に大きく貢献する一方で、コストや情報管理上の課題も伴います。

本記事では、社外取締役導入によるメリット・デメリットを整理するとともに、適切な人材を見つけるためのポイントや紹介サービスの活用方法について詳しく解説します。企業価値向上に向け、効果的な社外取締役選任に役立ててください。

社外取締役選任のメリット・デメリット

社外取締役の選任は、企業にとって大きなメリットをもたらす一方で、デメリットも存在します。導入を検討する際には、メリット・デメリットの両方を理解した上で、自社にとって最適な判断をする必要があります。

1. 社外取締役導入によるメリット

社外取締役を導入することで得られるメリットは多岐に渡ります。主なメリットとして下記が挙げられます。

メリット詳細
経営の客観性・透明性の向上社外の視点を取り入れることで、経営の客観性・透明性が向上し、公正な意思決定につながります。
経営の監督機能の強化社外取締役は、経営陣を監督する役割を担い、不正行為やコンプライアンス違反を抑制する効果が期待できます。
企業価値の向上ガバナンス体制の強化は、投資家からの信頼向上に繋がり、企業価値の向上に貢献します。
専門知識・ノウハウの活用各分野の専門家である社外取締役の知見を活用することで、経営課題の解決や新たな事業展開に繋げることができます。
人材育成社外取締役との議論や協働を通じて、経営陣や従業員の人材育成を促進することができます。
リスク管理の強化社外取締役は客観的な視点からリスクを評価し、適切なリスク管理体制の構築を支援します。

特に、コーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場企業は社外取締役の選任が強く推奨されています。

2. 社外取締役導入によるデメリット

メリットだけでなく、社外取締役導入によるデメリットも考慮する必要があります。

デメリット詳細
コストの発生社外取締役には報酬や交通費などのコストが発生します。
情報漏洩リスク社外の人間が経営に関与するため、情報漏洩のリスクが高まる可能性があります。適切な情報管理体制の構築が重要です。
責任の所在の曖昧さ社外取締役と社内取締役の役割分担が不明確な場合、責任の所在が曖昧になる可能性があります。
意思決定の遅延社外取締役との調整に時間がかかり、意思決定が遅れる可能性があります。
形式的な選任経営への関与が低い、いわゆる「お飾り取締役」を選任してしまうと、期待した効果が得られない可能性があります。

3. 社外取締役の選任方法

社外取締役の選任方法は、株主総会による選任が一般的です。適切な選任プロセスを踏むことが重要です。指名委員会等設置会社の場合は、指名委員会が候補者の選定を行い、株主総会に提案します。それ以外の会社では、取締役会が候補者の選定を行い、株主総会に提案します。

社外取締役候補者の選定にあたっては、候補者の経歴、専門知識、経験、人格などを総合的に評価する必要があります。また、候補者と既存の取締役との相性も重要な要素となります。

社外取締役の探し方

社外取締役を探す際には、企業の成長段階、事業内容、抱える課題などを考慮し、必要なスキルや経験を持つ人材を慎重に見極める必要があります。闇雲に探すのではなく、戦略的に探し出すことが重要です。

1. 適切な社外取締役を見つけるためのポイント

適切な社外取締役を見つけるためには、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 必要なスキルと経験:企業の課題解決に役立つ、専門知識や経験を持つ人材を選ぶ必要があります。例えば、財務、法務、マーケティング、人事など、企業のニーズに合ったスキルを持つ人材が求められます。
  • 業界知識:企業が属する業界の動向や競合に関する知識を持つ人材は、経営の意思決定において貴重な視点を提供できます。
  • 人脈:幅広い人脈を持つ社外取締役は、新たなビジネスチャンスの創出や、企業の成長に貢献することが期待できます。
  • 独立性:経営陣から独立した視点で客観的な意見を述べられる人材であることが重要です。利害関係のない第三者としての立場を維持できる人物を選びましょう。
  • 企業文化との適合性:企業の価値観や文化に共感し、共に成長を目指せる人材を選ぶことが重要です。社内との良好なコミュニケーションを築ける人物であるかどうかも重要なポイントです。
  • 時間的コミットメント:社外取締役としての役割を十分に果たせるだけの時間的余裕があるかを確認する必要があります。取締役会への出席や、委員会活動への参加など、一定時間のコミットメント

2. 社外取締役紹介サービスの活用

社外取締役を探す方法の一つとして、社外取締役紹介サービスの活用があります。これらのサービスは、企業のニーズに合った候補者を紹介してくれるため、効率的に社外取締役を探すことができます。

代表的なサービスとしては、以下のものがあります。

サービス名特徴
JAC Recruitment経営幹部・エグゼクティブ人材に特化した転職支援サービスを提供。豊富な実績と専門的なノウハウを持つコンサルタントが、企業のニーズに合った社外取締役候補者を紹介。
エン・ジャパンミドル・ハイクラス層向けの転職支援サービスを提供。社外取締役候補者を含む、幅広い人材データベースを保有。
プロコミットパートナーズ成長企業向けに顧問・社外取締役の紹介を行うサービスを提供。ハンズオン支援型の社外役員候補が多数登録。

これらのサービス以外にも、弁護士、公認会計士、税理士などの専門家ネットワークや、個人の人脈を通じて社外取締役を探す方法もあります。様々な方法を検討し、自社に最適な方法で社外取締役を探しましょう。

社外取締役の選任メリット・デメリット | まとめ

社外取締役の導入は、企業の透明性や信頼性を高め、持続的な成長を支えるために不可欠な取り組みです。

ただし、メリットだけでなく、コストや情報管理リスクといったデメリットも存在するため、慎重な選任と運用が求められます。適切なスキル・経験・独立性を備えた人材を見極め、企業文化に適合する社外取締役を迎えることが成功への鍵となるでしょう。

紹介サービスやネットワークを活用しながら、自社に最適な社外取締役を選任し、企業価値の最大化を目指しましょう。

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