最近、ニュースなどで早期離職が騒がれています。
企業にとって時間をかけて採用した人材がすぐに退職してしまうということは、大きな損害です。
本記事では新卒・中途それぞれの早期離職の要因について解説します。
早期離職の要因
早期離職には様々な要因が複雑に絡み合っていますが、大きく分けて以下の6つのカテゴリーに分類できます。
1. 仕事内容への不満
仕事内容が自身のスキルや経験とミスマッチである場合、早期離職に繋がりやすいです。具体的には、入社前に聞いていた仕事内容と実際の内容が異なる、仕事にやりがいを感じられない、成長を実感できない、過度な負担や長時間労働を強いられる、などが挙げられます。特に新卒社員の場合、理想と現実のギャップに苦しみ早期離職を選択するケースが多く見られます。
1.1 仕事内容とミスマッチ
採用面接で説明された業務内容と、実際に行う業務内容に乖離があった場合、入社後にギャップを感じて早期離職につながる可能性があります。例えば、営業職を希望していたにも関わらず、実際には事務作業ばかりを任されるなど、希望していた仕事内容と異なる場合、モチベーションの低下や不満につながりやすいです。
1.2 成長実感の欠如
仕事を通じて自身の成長を実感できないことも、早期離職の要因となります。新しいスキルを習得する機会がなかったり、キャリアアップの道筋が見えなかったりする場合、従業員は自身の将来に不安を感じ、より成長できる環境を求めて転職を考える可能性があります。
1.3 過度な負担・長時間労働
過剰な業務量や長時間労働は、従業員の心身に大きな負担をかけ、早期離職につながる可能性があります。慢性的な疲労やストレスは、健康問題を引き起こすだけでなく、仕事へのモチベーション低下にもつながり、結果として離職を選択するケースも少なくありません。
2. 職場環境への不満
物理的な職場環境や社風、企業文化なども早期離職に大きく影響します。具体的には、職場の人間関係が悪い、職場の設備が整っていない、社風が合わない、ハラスメントを受けている、などが挙げられます。快適な職場環境は従業員の定着率向上に不可欠です。
2.1 人間関係の悪化
職場の人間関係の悪化は、従業員のストレスを増大させ、早期離職の大きな要因となります。上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、派閥争いに巻き込まれる、ハラスメントを受けるといった状況は、職場環境を悪化させ、従業員の精神的な健康を損なう可能性があります。
2.2 設備の不備
老朽化した設備や、業務に必要なツールが不足しているなど、職場環境の物理的な不備も早期離職につながる可能性があります。業務効率が低下するだけでなく、従業員のモチベーション低下やストレス増加にもつながるため、適切な設備投資は重要です。
2.3 企業文化との不適合
企業文化への適応の難しさも、早期離職の要因となり得ます。例えば、非常に保守的な企業文化を持つ企業に、革新的な考えを持つ従業員が入社した場合、企業文化とのギャップに苦しみ、早期離職を選択する可能性があります。企業は、多様な人材を受け入れるための柔軟な企業文化を醸成していく必要があります。
3. 給与・待遇への不満
給与水準が低い、昇給が見込めない、福利厚生が不十分といった待遇面への不満も、早期離職の大きな要因となります。生活の基盤となる給与や待遇は、従業員にとって非常に重要な要素です。
3.1 低い給与水準
同業他社と比較して給与水準が低い場合、従業員はより良い待遇を求めて転職を考える可能性があります。特に生活費が高い都市部では、低い給与水準は生活の維持を困難にするため、早期離職につながりやすいです。
3.2 昇給機会の不足
昇給の機会が限られている、もしくは昇給額が少ない場合、従業員は自身の努力が正当に評価されていないと感じ、モチベーションが低下する可能性があります。明確な評価基準と昇給制度を設けることで、従業員のモチベーション維持と定着率向上を図ることが重要です。
3.3 福利厚生の不備
福利厚生が不十分であることも、早期離職の要因となります。健康保険や厚生年金などの法定福利厚生に加え、住宅手当や育児支援制度など、従業員の生活をサポートする福利厚生は、従業員の定着率向上に大きく貢献します。
4. キャリアパスへの不安
将来的なキャリアアップが見込めない、自分のやりたい仕事ができない、といったキャリアパスへの不安も早期離職につながります。特に若手社員は、自身の成長やキャリア形成に強い関心を抱いており、将来への展望が描けない状況に不安を感じやすいです。
4.1 キャリアアップの道筋が見えない
昇進の機会が限られている、キャリアアップのための研修制度が整っていないなど、キャリアアップの道筋が見えない場合、従業員は将来に不安を感じ、転職を考える可能性があります。企業は、従業員のキャリアプランをサポートするための制度や研修プログラムを提供することが重要です。
4.2 希望する業務に携われない
自身のスキルや経験を活かせる業務に携われない、希望する部署への異動ができないなど、キャリアプランと現状の業務内容に乖離がある場合、従業員は不満を感じ、早期離職につながる可能性があります。定期的な面談を通じて、従業員の希望やキャリアプランを把握し、可能な限り希望に沿った業務を任せることが重要です。
5. 人間関係のトラブル
上司や同僚との人間関係のトラブルは、職場環境を悪化させ、早期離職の大きな要因となります。パワハラやセクハラ、いじめなどは、従業員の心身に深刻な影響を与え、離職だけでなく、訴訟問題に発展する可能性もあります。
5.1 ハラスメント
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントなど、様々なハラスメントは、職場環境を悪化させ、従業員の心身に深刻なダメージを与えます。ハラスメント対策を徹底し、従業員が安心して働ける環境を整備することが重要です。
5.2 いじめ・仲間外れ
職場でのいじめや仲間外れも、早期離職の要因となります。陰口や無視、仲間外れといった行為は、従業員の精神的な負担を増大させ、職場環境を悪化させます。企業は、いじめや仲間外れが発生した場合、迅速かつ適切な対応をとる必要があります。
6. ワークライフバランスの崩壊
長時間労働や休日出勤の常態化、休暇が取得しにくいなど、ワークライフバランスが崩壊している状況も、早期離職につながります。プライベートな時間を確保できない、心身の健康を維持できないといった状況は、従業員の生活の質を低下させ、離職の大きな要因となります。
6.1 長時間労働
過剰な業務量や長時間労働は、従業員の心身に大きな負担をかけ、健康問題を引き起こす可能性があります。また、プライベートな時間を確保できないことも、ストレス増加やモチベーション低下につながり、結果として早期離職につながる可能性があります。労働時間管理を徹底し、従業員が適切な労働時間で働けるようにすることが重要です。
6.2 休暇取得の難しさ
有給休暇を取得しづらい雰囲気や、休暇取得を申請しにくい風土は、従業員のワークライフバランスを悪化させ、早期離職につながる可能性があります。企業は、従業員が安心して休暇を取得できる環境を整備し、ワークライフバランスを重視する姿勢を示すことが重要です。労働基準法では、年次有給休暇の取得を保障しており、企業は従業員の休暇取得を妨げてはなりません。
早期離職の要因は単独で発生するのではなく、複数絡み合って早期離職につながるケースが多いです。
企業は、これらの要因を理解し、適切な対策を講じることで、従業員の定着率向上を目指していく必要があります。