「起業したい気持ちはある。でも、何をやりたいのかが分からない」
そんな悩みを抱える人は、実は少なくありません。
「情熱を注げるものを見つけてから起業しよう」「やりたいことが明確でないと、ビジネスは続かない」といった“理想的な起業ストーリー”に縛られて、なかなか一歩が踏み出せずにいる人も多いのではないでしょうか。
でも、やりたいことが分からなくても、起業はできます。むしろ、分からないからこそ成功する余地があるとも言えます。
今回は、「やりたいことが分からない」状態からスタートする起業の考え方と、実践的なアプローチについてお伝えします。
起業=「やりたいこと」ではない
まず最初に、起業=夢の実現という思い込みを一度脇に置いてみましょう。
もちろん、「やりたいことをカタチにしたい」「人生をかけて実現したいビジョンがある」という明確な志を持って起業する人もいます。それは素晴らしいことです。
しかし現実には、起業家の多くが“最初から明確な情熱”を持っていたわけではありません。
・目の前の困りごとを解決していたらビジネスになった
・会社員時代のスキルを活かせる副業が、独立のきっかけになった
・生活の中の「これ、もっとこうだったらいいのに」という気づきからスタートした
こうした「生活の延長線」や「課題の解決」から始まったケースの方が、実は非常に多いのです。
つまり、「やりたいことが明確じゃないから起業できない」と考える必要はまったくありません。
「やりたいこと」は“つくる”もの
人は経験しないと本当の意味での「やりたいこと」は見えてきません。頭で考えていても、それはただの仮説に過ぎません。
実際、起業してから「やっぱり違った」と方向転換する人は多いです。やってみたからこそ、「これは自分に合わない」「こっちの方が楽しい」「この分野なら人の役に立てる」と気づくのです。
だからこそ、最初から“本命”を探すのではなく、“仮説ベース”で動きながら答えを見つけていくというスタンスが有効です。
やりたいことが見つからないときの起業設計ステップ
ステップ①:「できること」を棚卸しする
やりたいことが分からないなら、まず「できること」「経験があること」を洗い出してみましょう。
・今までどんな仕事をしてきたか?
・周りからよく頼まれることは?
・自然と人より得意になっていたことは?
ここで大切なのは、「大したことじゃない」と思わないこと。たとえば、Excelが得意、SNSの投稿が上手い、話を丁寧に聞ける。そういった小さな特技でも、他の人には“お金を払ってでも頼みたい価値”になり得ます。
ステップ②:小さく試す「実験型起業」をする
次に、棚卸ししたスキルや経験をもとに、小さなサービスや副業から試してみることです。
たとえば:
・SNSの運用代行を1万円で受けてみる
・友人にオンラインで家庭教師をしてみる
・イベント運営やチラシ作成を請け負ってみる
最初から法人を立ち上げたり、事務所を借りたりする必要はありません。
クラウドソーシング、SNS、知人からの紹介など、テストできる場はたくさんあります。
この段階では、「うまくいくこと」よりも「自分に合っているか」を確認するのが目的です。
ステップ③:反応と感情を記録する
実際に行動してみたら、「人の反応」と「自分の感情」に注目してみましょう。
・どんなときに「ありがとう」と言われたか?
・どんな作業がスムーズで楽しかったか?
・逆に、やっていてストレスだったことは何か?
このフィードバックの蓄積が、あなたにとって“やる価値のあること”を見つけるヒントになります。
起業の軸は「やりたいこと」ではなく「ありたい姿」
最終的にあなたの起業にとって大切なのは、「何をやるか」ではなく、「どんな生き方をしたいか」という“あり方の軸”です。
・どこで、どんな時間の使い方をしたいか?
・どんな人たちと仕事をしたいか?
・どんな価値観を大切にしたいか?
この「ありたい姿」が明確になれば、たとえやることが途中で変わっても、自分らしいビジネスの輪郭はブレません。
「やりたいこと」が見つからないことは、決して不利ではありません。
むしろ、柔軟に変化し、他人に左右されず、地に足のついた起業ができる可能性を秘めています。
やりたいことが分からないから始める起業設計 | まとめ
「やりたいことが分かるまで行動できない」という人と、「動きながら自分のやりたいことを探していく」という人とでは、半年後、1年後の景色はまったく異なります。
正解は最初から用意されていません。でも、動きながらなら、少しずつ自分の輪郭が見えてきます。
起業とは、自分を深く知り、自分らしく生きていくためのプロセスでもあります。
やりたいことが分からなくても、大丈夫。“分からない”からこそ、見つけられる可能性があるのです。
さあ、小さな一歩から、始めてみませんか?