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“経験の棚卸し”から始める起業術

2025年6月21日

「何をして起業すればいいかわからない」「自分には売れるスキルがない」――。

そんな不安や迷いを抱える人は少なくありません。特に副業やスモールビジネス、独立といった言葉が身近になった今、自分で何かを始めたいと思いつつも、“ゼロから何かを生み出さなきゃ”と構えてしまう人が多いのです。

しかし実は、起業や副業を考えるとき、いちばん初めにすべきことは「新しいスキルを学ぶこと」ではありません。

必要なのは、“あなたの過去を振り返ること”。

つまり、「経験の棚卸し」です。

この記事では、「経験の棚卸し」がなぜ起業の第一歩として有効なのか、どうやって実践すればよいのか、そしてそこからどんな可能性が広がるのかについて、具体的に解説していきます。

起業とは“ゼロからの挑戦”ではなく、“過去の再発見”

起業と聞くと、「新しいサービスを考える」「差別化できるビジネスモデルを作る」など、斬新なアイデアや専門的な知識が必要と思われがちです。

でも、実際に成果を出している個人起業家の多くは、自分の過去にある“経験”や“得意なこと”をベースにビジネスを構築しています。

たとえば:

・育児での苦労や工夫 → ママ向けの講座や情報発信に
・会社で長年やっていた事務作業 → 中小企業向けの業務サポートに
・趣味で続けてきたDIYや料理 → SNSを活用した集客と販売に

つまり、ゼロから何かを生み出すのではなく、すでに持っているものに価値を見出すことが、起業の入口としてとても大切なのです。

なぜ「棚卸し」が効果的なのか?

私たちは、自分の過去や日常にあまりにも慣れてしまっていて、「こんなことに価値があるなんて思わなかった」というものをたくさん抱えています。

でも他人にとっては、それが“役に立つ情報”であり、“求めている答え”であることも多いのです。

たとえば:

・「ただの営業経験」と思っていたことが、「営業が苦手な人向けのコンサル」になる
・「日々こなしていた育児」が、「ワンオペ育児に悩む人の励ましの言葉」になる
・「自分では普通にやっている家計管理」が、「貯金に悩む人にとっての学び」になる

このように、自分にとっての“当たり前”は、誰かにとっての“価値”になる。その可能性を見つけ出すのが、「経験の棚卸し」の目的です。

棚卸しのステップ:自分の“価値の種”を掘り出す方法

では、具体的にどうやって棚卸しをすればよいのでしょうか。以下の4ステップで、自分の中にある“ビジネスの種”を発見することができます。

ステップ①:経験を書き出す

まずは、これまでの経験をすべて書き出してみましょう。仕事、趣味、家庭、学校生活、挫折体験など、どんな小さなことでも構いません。

例:

・大学時代に続けていたブログ
・子育て中に実践した時短レシピ
・前職での新人教育やマニュアル作り
・人前で話すことが得意、苦手克服した経験

ステップ②:「好き」「得意」「感謝されたこと」をピックアップ

書き出した経験の中から、「楽しかった」「やりがいを感じた」「人に感謝された」ものを印に残します。ここには、ビジネスの原石が眠っている可能性が高いです。

人は、自分の“情熱”や“自然にできること”を軸にすると、継続できるし、他者にも伝わりやすいのです。

ステップ③:「誰に、どう役立てるか」を考える

選んだ経験が、誰のどんな悩みに応えられるかを考えてみましょう。

「誰のために」「何を提供できるか」を明確にすることで、サービスや商品として形にしやすくなります。

たとえば:

・新人教育の経験 → 新入社員向けの社会人マナー講座
・家計管理 → 20代女性向けの“貯金体質”ワークショップ
・接客経験 → 小さな店舗のスタッフ育成サポート

ステップ④:発信・行動を始める

棚卸しで見つけた“価値の種”をもとに、小さく発信を始めてみましょう。SNS、ブログ、友人との会話……どんな形でもいいので、「こんなことを考えている」「こういうサポートができます」とアウトプットすることで、反応が返ってきます。

最初は売上や依頼がなくても、声に出すことで応援者が増えたり、ニーズが見えたり、方向性が洗練されていきます。

「あなたに頼みたい」は、過去からつくられる

起業とは、商品やサービスを通じて「誰かの役に立つこと」。

そして、信頼を築き「この人に頼みたい」と思ってもらうには、“あなたがどんな人で、どんな経験をしてきたか”がとても大きな要素になります。

つまり、あなたの人となり=これまでの歩みそのものが、最大のビジネス資産なのです。

「実績がないから無理」ではありません。むしろ、過去のどんな経験も、その切り取り方次第で価値に変えることができます。

“経験の棚卸し”から始める起業術 | まとめ

人は誰しも、独自の経験を持っています。

それは資格よりも、肩書きよりも、はるかに深い“説得力”を持つものです。

「何かを始めたいけど、何ができるかわからない」そんなときこそ、自分の過去を見つめてください。

あなたが歩いてきた道には、すでに誰かのためになる“ヒント”が詰まっています。

その点をつなぎ、意味づけしていくこと――それが、「あなたにしかできない起業」の出発点になります。

まずは、経験の棚卸しから。

あなたの過去に、必ず価値があるのです。

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