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「競争」ではなく「共創」が新しい成長戦略になる

2025年9月15日

ビジネスの世界と聞くと、多くの人が「競争」という言葉を連想します。ライバルに勝つ、市場シェアを奪う、価格で優位に立つ。こうした「勝ち負けのゲーム」としての発想は、これまでの資本主義を牽引してきました。

しかし今、社会の価値観や市場の構造が変わりつつある中で、企業や個人に求められているのは「競争」よりも「共創」だといえるでしょう。

「共創」とは、立場の異なる人や組織が互いの強みを持ち寄り、新しい価値を一緒に生み出していくことです。

顧客、パートナー企業、地域社会、時にはライバルでさえも協力相手になり得るのです。なぜ今「共創」が重要なのか。

その理由を考えてみましょう。

「競争」ではなく「共創」が新しい成長戦略になる

1. 市場は奪い合いから“拡張”へと変化している

かつては「限られたパイをどう分け合うか」という発想で競争が起こっていました。しかし、デジタル化とグローバル化によって、パイそのものを拡張することが容易になっています。

例えば、音楽業界を見てみましょう。CDの販売を巡って競争していた時代には、シェアを奪い合うしかありませんでした。しかし、ストリーミングサービスが登場し、アーティストがコラボレーションを通じて新しいリスナー層を獲得するようになったことで、市場自体が大きく広がったのです。

つまり「奪う競争」ではなく「つなげる共創」が、新しい可能性を切り拓く鍵になっています。

2. 顧客は“選ぶ”のではなく“一緒に作る”ことを望んでいる

かつての消費者は、企業が提供するものを「選ぶ立場」にありました。しかし今はSNSやクラウドファンディングの普及により、顧客は商品やサービスの開発段階から関わりたいと考えるようになっています。

たとえばクラフトビールやD2Cブランドでは、ファンの意見を取り入れて新しいフレーバーを開発したり、顧客とともにストーリーを発信したりする動きが盛んです。

これは単なる販売活動ではなく、「共創型のブランドづくり」です。顧客は購入者であると同時に“共犯者”であり、仲間意識を持つことで長期的な支持につながります。

3. “一社完結”から“共生ネットワーク”の時代へ

現代のビジネスは、一社だけで完結することが難しくなっています。テクノロジーは進化のスピードが速く、専門分野が細分化しているため、あらゆるリソースを自社で持つのは現実的ではありません。

そのため「エコシステム」を築くことが重要になります。大企業がスタートアップと組んだり、異業種間で連携したりするのは、共創の代表例です。

例えば、ヘルスケアの分野ではIT企業と医療機関が手を組むことで、オンライン診療や健康管理アプリといった新しいサービスが生まれています。もし片方だけで取り組んでいたら、ここまでのスピードやスケールは実現できなかったでしょう。

4. 共創は“持続可能性”の条件でもある

環境問題や人口減少といった社会課題は、一企業の努力だけで解決できるものではありません。SDGsやESG投資の広がりが示すように、社会にインパクトを与える取り組みは、企業・行政・市民が協働する形でこそ成立します。

たとえば地域再生の取り組みでは、行政の支援、住民のアイデア、企業の技術力や資金が組み合わさることで新しい産業や観光資源が生まれます。そこには「誰が勝つか」ではなく「どう共に生きるか」という視点が求められています。

5. 「共創型リーダー」が求められる時代

では、共創を実現するために必要な人材像とはどのようなものでしょうか。従来の「競争型リーダー」は、指揮命令を行い、組織を一方向に導く役割が中心でした。

一方で「共創型リーダー」は、異なる立場の人々をつなぎ、対話を促進し、相互の強みを引き出すことに長けています。

これは必ずしも社長やマネージャーに限らず、現場の一社員やフリーランスの立場でも発揮できる力です。「共感を軸に人を巻き込める人材」が、これからの社会では最も価値を持つといえるでしょう。

共創がもたらす“未来の成長” | まとめ

これからの成長戦略は、「他者を打ち負かすこと」ではなく「他者と共に創ること」によって実現されます。

競争の時代に成果を上げた人は、知識や技術の差を活かしました。しかし共創の時代に成果を上げる人は、「人と人をつなぐ力」や「共感から価値を紡ぐ力」を発揮する人です。

つまり、成功の定義そのものが変わりつつあるのです。

ビジネスを進めるうえで「競争」が不要になるわけではありません。ただし、それが中心にある時代は終わりを迎えています。これからは、競争と共創のバランスをどう設計するかが問われるでしょう。

そして「共創」をベースにした取り組みこそが、企業にとっても個人にとっても持続可能な未来を切り開く最も確かな成長戦略になるのです。

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