かつてのビジネスは、「正解を知っている人」が強い世界でした。マーケットに最適解を持ち込めば、勝負に勝てた時代。
成功者の真似をし、正しい方法をなぞれば一定の成果は手に入りました。
しかし今、時代の潮目は確実に変わりつつあります。これからのビジネスにおいて最も問われるのは、「どんな問いを持っているか?」という姿勢そのものです。
変化が常態化した時代に「正解」はない
今の社会は、変化のスピードが圧倒的に速く、しかも予測困難です。
技術革新、価値観の多様化、グローバルな課題、環境問題――あらゆるものが複雑に絡み合い、昨日まで通用した常識が、今日には古びたものになる。
つまり「答えを探す」ことがそもそも難しくなっているのです。
そんな時代に必要なのは、「正解を知っているかどうか」よりも、「どんな問いを立てられるか」。言い換えれば、自分なりの視点で物事を捉え、それに対して主体的に仮説を立て、動きながら答えを見つけていく力です。
つまり、ビジネスの起点を“問い”に置くという発想です。
「問い」がビジネスのコンセプトを磨く
たとえば、「自分のビジネスは何のために存在するのか?」という問い。これは使命や存在意義(パーパス)を見直す問いです。
また、「本当に困っている人は誰か? その人にとっての真の課題は何か?」という問いは、商品設計やサービスの本質を見極めるカギになります。
さらには、「なぜこの方法なのか? 他にできることはないか?」という問いは、イノベーションを生む土壌になります。
問いを深めることで、事業の輪郭がよりシャープになり、他にはない独自性が生まれる。
逆に言えば、問いが浅いビジネスは、どこか表面的で模倣的になりやすいのです。
答えを持たずに始める勇気
今、多くの起業家や経営者に求められているのは、“問いを持ったまま行動する”という勇気です。
完璧な戦略や確実なシナリオを求めすぎると、一歩が踏み出せなくなります。もちろん、リスク管理は重要ですが、それ以上に問われるのは、「不確実な世界の中で、自分は何を探求したいのか?」という姿勢。
問いを持ち、仮説を立て、動きながら答えをつくっていく。そのプロセス自体が、共感や信頼を生み、ファンや共創者を引き寄せる力になります。
「問い」からチームをつくる
また、“問い”はチームづくりにも有効です。従来のように「この仕事をやってください」という“命令型”の設計では、人は動きません。
むしろ、「なぜこの仕事をするのか?」「何のためにやるのか?」という問いを共有することで、主体的に動けるチームが育ちます。
問いの共有は、理念の共有でもあります。それがあるからこそ、組織の一人ひとりが思考し、創意工夫し、自走できるようになるのです。
小さなビジネスほど、“問い”が武器になる
とりわけ個人事業主や小さな会社にとって、“問い”は強力な武器になります。
資本力でもブランド力でも大企業に敵わない中で、唯一対抗できるのは「どれだけ深く、ユニークな問いを持っているか」です。
たとえば、「地域で一番愛される整体院になるには?」「“通いやすい”ではなく、“また会いたい”と思われるには?」といった問いを日々考え抜いていれば、そこには自然と差別化された魅力が宿るものです。
これからの時代は、「問い」でつながる
これからのビジネスは、“問い”を中心に回っていきます。そして、その問いに共鳴した人たちが集まり、応援し、関わり合い、共創していく。もはやビジネスとは、商品やサービスの提供ではなく、「問いを共有する関係性」の構築なのです。
だからこそ、自分の内側にある“問い”を、今こそ言語化してみてください。それは未来をつくる地図になり、共鳴する人たちとの出会いを引き寄せる、最初の一歩になるはずです。