個人事業主が知っておくべきインボイス対応策
- 2024/8/28
- インボイス
昨年にインボイス制度が導入されたことは、皆さん当然知っていることと思います。
そして今年実施された初の確定申告で個人事業主の消費税申告件数が昨年の約2倍となる197万件を超えたことが国税庁によって明らかになりました。
この大幅な増加は、制度に新たに登録し、消費税の納税義務が生じた小規模事業者が増えたためと考えられています。
報告によれば、制度開始後の今年行われた確定申告では、申告件数が昨年の105万5000件から197万2000件に増加し、納税額も約6850億円と、前年比573億円増の増加が見られました。この増加は、インボイス制度に登録し、新たに納税義務を負った約87万人の事業主によるものです。
ただインボイス制度の登録は任意であり、税負担を避けるために登録を見送る事業者もいますが、未登録の事業者は仕入れ税の控除が受けられないため、取引先から価格の値下げを一方的に要求されるケースも増えているという問題が発生しています。
また実際のどのような手間がかかるかなど不明なため、いったん見送った方も多くいるでしょうし、約1年様子を見て今年からインボイスの登録をしようと考えている人も多くいるでしょう。
本記事では、これからいよいよインボイスに登録しようとする人がどのように対策をすれば良いのかについて解説します。
個人事業主が知っておくべきインボイス対応策
これからインボイスに登録を計画している個人事業主は様々な対応が必要となります。
具体的な対応策を4つのポイントに絞って解説します。
1 登録手続き
インボイスを発行して課税事業者となることを選択した場合、事前に税務署への登録が必要です。
登録手続きには以下の2種類があります。
- 新規登録:これまで一度も税務署に登録したことがない場合
- 課税事業者選択届出書:免税事業者から課税事業者へ変更する場合
いずれの場合も、手続きには期限が定められています。期限内に忘れずに手続きを行いましょう。
詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
2 帳簿管理・請求書発行
インボイス制度導入に伴い、帳簿管理や請求書発行の方法を見直す必要があります。
具体的には、以下の3つの項目に関する情報を帳簿に記録し、請求書にも記載する必要があります。
- 適用税率:標準税率(10%)、軽減税率(8%)、免税のいずれかを記載
- 消費税額:適用税率に基づいた消費税額を記載
- 登録番号:税務署に登録した際に付与される登録番号を記載
これらの情報を正確に記録・記載するために、会計ソフトの導入や請求書発行システムの変更を検討する必要があるかもしれません。無料で利用できる会計ソフトもありますので、freeeやマネーフォワード クラウドなどを検討してみましょう。
3 取引先との交渉
インボイス制度導入は、取引先との関係にも影響を与える可能性があります。
特に、これまで免税事業者として取引を行ってきた場合、課税事業者となることで取引価格の見直しが必要となるケースがあります。取引価格の見直しは、以下の2つの点で重要となります。
- 消費税分の負担:インボイス制度導入により、消費税分の負担をどちらが負うのか明確にする必要があります。これまで通り、請求金額に消費税を含めるのか、別途請求するのか、事前に取引先と十分に協議しましょう。
- 価格交渉:課税事業者となることで、消費税分のコスト増が発生する可能性があります。取引先との力関係にもよりますが、価格交渉が必要となるケースも想定しておきましょう。
4 価格設定の見直し
インボイス制度導入を機に、自身のビジネスの価格設定を見直すことも重要です。
特に、これまで免税事業者として活動してきた場合、課税事業者となることで価格競争力が低下する可能性があります。
価格設定の見直しは、以下の2つの点を考慮しながら行いましょう。
- 原価計算:材料費や人件費などの原価を正確に把握し、利益を確保できる価格設定になっているか確認しましょう。
- 市場調査:同業他社の価格設定や顧客ニーズを調査し、自社の商品やサービスの価値に見合った価格設定になっているか検討しましょう。
価格設定は、ビジネスの成功を左右する重要な要素です。
安易な値上げは顧客離れに繋がる可能性もあるため、慎重に進める必要があります。
いかがでしたか?
ようやくインボイス制度が導入され約1年を迎えますが、メリットデメリットなどが見えてきたことと思います。
今年からインボイスに登録しようと検討されている方は、今回お話しした4つのポイントに注意しながら登録の準備をすすめてはいかがでしょうか。