スピード離職の原因と企業に与える影響
- 2024/7/29
- トピックス
新年度が始まり早くも4カ月が経とうとしていますが、現在多くの会社で悩んでいることがあります。
それは社員の定着率です。
4月始まってからニュースでも騒がれていますが、最近では入社した社員がすぐに辞めてしまうといういわゆる「スピード離職」が話題になりました。
中には初日で辞める人もいたり、退職代行に頼み会社とは一切連絡を取らずに辞める人もいるようです。
それではなぜ新入社員はすぐに辞めてしまうのでしょうか?
その原因や企業に与える影響について考えてみたいと思います。
スピード離職による企業へのダメージとは?
2022年10月に厚生労働省が発表したデータによると、2019年の大学新卒の3年以内の離職率は31.5%だったそうです。
また事業所規模が小さいほど離職率は高い傾向にあり、2019年3月の詳細な離職率は従業員数が30~99人の事業所では39.4%が、5~29人の事業所では48.8%が離職していたと発表されています。
この数値をみても多くの企業がこのスピード離職が大きな課題になっているのは明白です。
また早期に離職されることで会社にも大きな負担がかかります。
まずは採用育成コストです。
採用に至るまでには大きな費用がかかりますし、数年間に渡り技術やノウハウを教えるということが一瞬にして消えてしまうので、大きな損失になります。
次に企業は採用の際に職場状況を開示する義務があります。
その中に過去3年間の新卒採用数・離職者数という項目があるのですが、そのため学生は企業の離職率を把握することができますし、就職する側の学生には人が辞めていく何らかの理由がある会社と認識される可能性もあり、企業にとってマイナスのイメージがついてしまうかもしれません。
特に今の若手世代は「Z世代」とも呼ばれており幼少期から、携帯やインターネットに触れて育ってきたいわゆるデジタルネイティブなので、上記の様な情報を予めチェックすることにも長けているでしょう。
スピード離職の主な原因とは
スピード離職の理由や原因は様々あると思いますが、テレビでいうような入社する若者にだけ非があるというわけではありません。
時代は常に進化していますし、会社側と学生側に隔たりがあると思うので、お互いに歩み寄る必要があるでしょう。
いくつかその原因について解説します。
・入社前後のギャップ
まず第1に辞めた多くの若手社員が、入社する前と入社した後のギャップを感じているようで、早期離職の大きな原因と言われています。
コロナの影響もあり、現在採用市場は売り手市場と言われており、人材不足は起業の大きな課題です。
そんな中、企業も良い人材を確保したくて採用担当者は自社の良いところだけとは言いませんが、プラスの事を伝えてしまう傾向があります。
その結果、新入社員はこんなことは聞いてなかったなどの不満が募り、辞めてしまうケースが多くある様です。
・仕事内容
次に仕事内容です。
先日、所属する部署が希望した部署と違ったため入社して数か月で退職したというニュースを拝見しました。
このパターンはいささか極端の例かもしれませんが、仕事内容については学生にとっては非常に大切なポイントであることは間違いありません。
入社する前はこんな仕事がしたくてこの企業を選んだのにとがっかりしてしまう訳です。
こういったミスマッチを防ぐために、企業は企業説明会・面接時に企業のリアルな状況をしっかりと伝えて、新卒社員がギャップを感じないように手を打つことが大切です。
加えて労働環境についても労働時間や休日数、福利厚生などあらかじめ情報提示することが大切です。
労働基準法の範囲内で時間外労働が発生するということは、それ自体が悪いという訳ではなく、そういうことがあるということを知らせていないことが問題なんです。
中には時間外労働をしてでもスキルを高めたい、キャリアアップを目指したいという社員も少なくありませんので、やる気のある社員のモチベーションを潰さないということも会社の発展のためには非常に大事なポイントだと思います。
新卒社員が働きやすさとやりがいの両方を感じてもらえるような企業を目指しましょう。
・人間関係
最後に人間関係です。
この部分においては新入社員だけではなく、働くすべての社員にとって大切です。
特にここ数年で入社してきている社員は皆さん学生時代にコロナを体験してきています。それはどういうことかといえば、学生時代にコミュニケーションを取る機会が少なかったということです。
企業としては、積極的に社員同士がお互いに理解し合う環境作りを整備していく必要があるでしょう。
コミュニケーションは仕事を進めるにあたって大事ですし、社内コミュニケーションの活性化に成功すれば、業務も円滑に進めやすくなります。
今回解説したように、スピード離職には様々な理由がありますし、企業に与える影響も非常に大きいものです。
企業の採用担当者は事前にしっかりとした企業の現実を伝えていく必要があります。
最近では、転職や副業そして独立という選択肢も多くの学生が持っているのでより一層注意深く対応していかなければなりませんね。