コロナ影響でタクシー不足?

日本のタクシー業界は、新型コロナウイルスの影響や運転手の高齢化によって深刻な人手不足に直面しているという事実を知っていますか?

 

全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、2023年3月末時点でのタクシー運転手数は23万1938人にまで減少し、これは新型コロナ流行前の2019年3月末から約20.4%、実数で約6万人も減少したという結果を示しています。

さらに、厚生労働省のデータによると、タクシー運転手の平均年齢は58.3歳と高齢化が進んでいます。

 

本記事では、タクシー業界の今後について話してみたいと思います。

 

なぜタクシーが少ないの?

最近、食事会の後などにタクシーに乗って帰ろうとしたところ、なかなか捕まらなかったという経験をしたという人、少なくないのではないでしょうか。

 

新型コロナの影響で客足が大幅に減少し、運転手の収入が減ったこと、さらに車内での感染リスクへの懸念が、運転手の離職を加速させたと考えられています。

特に深夜や早朝など、タクシーが重要な移動手段となる時間帯において、適切なサービス提供が困難になっています。

 

この問題は、タクシー業界に限らず公共交通全体に影響を及ぼしています。

バス事業者においても運転手不足が深刻化し、ダイヤの改正による減便や路線の廃止が始まっています。これにより、特に高齢者や公共交通に依存する人々の日常生活や医療へのアクセスに影響が出ています。

移動の格差、いわゆる「モビリティーデバイド」が広がり、車を持たない人々や地域にとって大きな問題となっています。

 

このような状況を受けて、業界では民間事業者と行政の連携を模索しています。例えば、行政がバス車両を購入し、これを民間にリースすることで運営コストを支援する方法や、民間事業者が運転手の募集や住居を行政からの支援を受けることが考えられます。これまではタクシー、鉄道、バス業界がそれぞれ別々に議論を進めてきましたが、今後はこれらの垣根を越え、地域ごとに協力し合いながら全体的な解決策を模索する必要があります。

 

タクシー業界の人手不足は、単に労働力の問題にとどまらず、社会の基盤となる交通インフラの維持に関わる問題です。

特に日本のような高齢化社会では、タクシーやバスなどの公共交通が地域社会の生活支援や経済活動に欠かせない役割を担っています。

 

しかし、現在の人手不足は、運転手の高齢化に加え、若い世代の運転手の確保が難しいという構造的な問題も抱えています。これは、労働環境や報酬、勤務時間の長さなどが関係しているとされ、業界全体の改善が求められています。

 

このような背景の中で、各地で様々な取り組みが行われています。

例えば、一部の地域では、タクシー会社が地域住民との協力を強化し、地域密着型のサービスを展開しています。また、運転手の採用に際しては、外国人労働者の活用や女性運転手の増加など、多様な人材の確保に向けた動きも見られます。

 

高齢者や障害を持つ方々、また地方部に住む住民など、公共交通に大きく依存している層にとっては、タクシーの運転手不足は直接的な生活の支障となり得ます。

さらに、観光客やビジネスでの移動需要の回復に対応できないことは、地域経済にも大きな影響を与えかねません。

 

今後、運転手不足問題に対処するためには、新たな人材の確保と育成が必要です。

しかし、単に人手を増やすだけでは不十分で、高齢運転手の健康管理や安全対策、さらには運転手の労働環境の改善も重要な課題です。このためには、業界全体での賃金の見直しや勤務条件の改善、キャリア形成へのサポートなどが求められるのではないでしょうか。

 

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